社会人になると、「縦」の人間関係に接する機会が増えます。美容室でもオーナーや先輩、お客様など目上の人と話すときには、相手に合わせて言葉遣いを変える必要があります。
理想は話す相手や場面、自分の立場を踏まえて、多くの言葉の中から、そのときの状況に適した言葉を選び使うことができることです。
今回は5種類の敬語と、敬語を使うときに注意したほうがいいポイントを紹介します。
スタッフの中には言葉遣いに厳しい先輩もいるので、覚えておくと役に立つと思います。
敬語とは
「敬」・・・相手を尊んで礼を尽くす。人をうやまって、行動をつつしむこと。
「語」・・・言葉。言語。もの言い。
敬語とは、相手に敬意を表す言葉です。相手との地位の差や年齢の差などを埋める働きをします。
また、スタッフやお客様とのコミュニケーションを円滑にし、よい人間関係を築いていくために不可欠です。
敬語が必要な理由
- 相手への敬意を示す
- 相手との立場や関係を明確にする
- どんな人とでも、堂々と話せる
- 信頼を得られる
- 人間関係を円滑にする
敬語は社会人としての必須スキルですが、マニュアルをロボットのように使うのではなく、相手を思いやり、適切な言葉で表現することが大切です。
5種類の敬語
敬語は大きく分けると、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類です。
ただ平成19年に文化庁は「敬語の指針」でさらに5種類に分けています。
敬語の指針https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf
①尊敬語・・・相手を高めて敬意を表す言い方。「相手が〜する」ことを伝える表現。
- 会う→お会いになる
- 言う→おっしゃる
- 来る→いらっしゃる
- 聞く→お聞きになる
- する→なさる
- 帰る→お帰りになる
②謙譲語 Ⅰ・・・自分側を低くして、相手を高める言い方。行動の先に目上の人がいたときに使う。
- 会う → お目にかかる
- 訪ねる/尋ねる/聞く → 伺う
- 見る → 拝見する
- 案内する → ご案内する
③謙譲語 Ⅱ(丁重語)・・・自分側の行為、物事を相手に対して丁重に述べる語。
- 言う → 申す
- いる → おる
- する → いたす
- 行く/来る → 参る
④丁寧語・・・語尾に「です」「ます」「ございます」を付けて整えた言い方。
- 〜する → 〜します → 〜いたします
- 〜だ → 〜です → 〜でございます
- ある → あります → ございます
⑤美化語・・・物事を美化して述べる言葉。「お」「ご」を付けて美しい言い方にする。
- お菓子
- お金
- お酒
- お刺身
- ご馳走
美化語は「お」や「ご」を付けて違和感のない言葉もあれば、付けない方が正しい言葉もあります。
「お」「ご」を付けない言葉
- おコーヒー
- おテレビ
- おパン
- おラーメン
明らかにおかしいですね、、、笑。使ってる人がいたらツッコんであげましょう!
間違いやすい敬語
つい使ってしまいやすい言葉遣いを確認しましょう。
尊敬語と謙譲語を混ぜて使う
✖️昼ご飯は頂かれましたか → ○昼ご飯は召し上がりましたか
(「食べる」の謙譲語「頂く」に、尊敬語をつくる「〜れる」が混ざってる)
✖️〜様はおられますか → ○〜様はいらっしゃいますか
(「いる」の謙譲語「おる」に、尊敬語をつくる「られる」が混ざってる)
二重敬語
✖️お客様がおいでになられました → ○お客様がおいでになりました
(「来る」の尊敬語「おいでになる」に、尊敬語をつくる「〜られる」がついている)
✖️オーナーがおっしゃられました → ○オーナーがおっしゃいました
(「おっしゃる」「〜られる」の尊敬語の二重敬語)
✖️拝見させていただいてもよろしいでしょうか → ○拝見してもよろしいでしょうか
(「見る」の謙譲語「拝見する」に、「してもらう」の謙譲語「いただく」がついてる二重敬語)
間違った言葉遣い
✖️本日、小林はお休みを頂いております → ○小林は本日、休みを取っております
(身内の休みに「お」を付ける必要はない)
✖️お名前を頂戴できますか → ○お名前を教えていただけますか
(これは本当によく使ってる人がいる!名前は頂戴できません)
目上の人に使うと失礼な敬語
自分ではキチンとした敬語で話しているつもりでも、目上の人に対して使うと失礼に当たる言葉があります。
私も後輩と話しているときに「ん?」と思うことがあります。
人によっては上から目線で話していると思われ、信頼を失ってしまうこともあるかもしれません。
若いアシスタントの子はそもそもその言葉が失礼に当たると言うことさえ知らないかもしれないので、気づいたときは教えてあげましょう。
誤解されやすい敬語
✖️了解/了解です → ○ かしこまりました/承知しました
(「了解」は、同じ立場の人や普段から親しい間柄の人に使う言葉)
✖️ご苦労様です → ○ お疲れ様です
(「ご苦労様」は上の立場の人が目下の人をねぎらう言葉)
✖️参考になりました → ○ 大変勉強になりました
(参考程度かと思われ、上から目線の印象を与える)
注意したい言葉遣い
「ら」抜き言葉
敬語どうこうの前に、日本語でよく指摘されているのが「ら」抜き言葉です。
- ✖️見れる ○ 見られる
- ✖️出れる ○出られる
- ✖️食べれる ○ 食べられる
よく聞く言葉遣いですし、普段そんなに気にならないとは思いますが、間違った使い方ではあるので日頃から注意するようにしましょう。
その他の注意したい言葉遣い
✖️ 本日はカットとカラーでよろしかったでしょうか → ○ 本日はカットとカラーでよろしいでしょうか
(「よろしかった」は過去形なので、すでに終わったことに使う表現)
✖️ 10000円からお預かりします → ○ 10000円お預かりします
(「から」は必要のない言葉)
✖️こちらがご注文のワックスになります → ○ こちらがご注文のワックスです
(「〜になる」は「〜に成る」という変化を表すときに使う言葉)
✖️お名前のほう教えていただけますか → ○ お名前を教えていただけますか
(「〜のほう」は方角や選択・比較の意味で使われる)
まとめ
私自身言葉遣いに関して完璧ではないので、今回あらためて勉強してみて日頃から気をつけるようにしようと思いました。
以前勤めていたお店でこんなことがありました。
それはあるスタイリストが高校生のお客様にタメ口で接客していたときのことです。その高校生は帰り際に受付のスタッフにクレームをつけていました。
クレーム内容は「タメ口がムカついた」です。
このようなお客様も中にはいらっしゃると思うので、学生さんだからといってフレンドリーに接客するのも、ある程度関係ができるまでは気をつけるべきです。
学生時代にちょっと勉強したような敬語づかい。これを機に勉強してみてはいかがでしょうか?
最後までありがとうございました。
GOOD LUCK!
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