ゆっくんです。個人で美容室を経営しています。
「ブランディング」
言葉自体はよく耳にし、大切だとわかっているけど何をすればいいのかよくわからない。美容室は年々増え続け今では全国25万軒以上。その中でお客様に選ばれる美容室になることは簡単ではありません。
また日本では今後も少子化が進んでいくと予想され、人材の確保はますます難しくなっていくと思われます。
未来永劫、美容業界で生き残っていくための方法として、ブランディングは欠かせないものだと思います。
この記事ではまず、
・ブランディングが必要な理由
・そもそもブランドとは何か?
・ブランディングがもたらすメリット
についてまとめましたので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
それではよろしくお願いします!
ブランディングが必要な4つの理由
ブランディングを始める前に、なぜ必要なのかを整理します。
①技術・接客・サービスなどによる差別化が難しくなってきた
私が美容師を志した20年ほど前は、カリスマ美容師時代で宣伝広告を使えば難なく集客のできる時代でした。
ですが今は、美容室オーバーストア状態。「技術・接客・サービスは良くて当たり前」という時代になりました。
待っているだけではお客様に選ばれる美容室になることができません。
そこで重要になってくるのが、「ブランディング」です。
お客様の気持ちを深く理解し、それをヒントに自店でできる顧客体験を提供することで、顧客満足度を高める。そしてファンになってもらう。
得意なことに特化し、それを自分のブランドとして価値を高め、他店や他の美容師との「差別化」をすることが、とても大切なことだと思います。
②「価値がある」ものにお金を払う時代になった
コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、今は「安ければ買う」という時代ではなくなりました。自分にとって「価値がある」ものならばお金を払う。そういった人が増えたように思います。
「じゃあQBハウスはどうなの?安いじゃん!」
このように思いますよね。
お客様によって髪に対する価値観は違います。QBハウスを利用するお客様は、ヘアスタイルのデザインよりも「時間」と「効率」を重視している人が多いのではないかと思います。
そこにQBハウスのブランディングがガッチリハマっているのではないでしょうか。
高くても「価値」があればお金を払うし、価値を感じることができなければ安くてもお金は払わないということですね。
ブランディングをして自店の「価値」を高め、発信していくことが大切になってきています。
③デジタル化による、消費活動の変化への対応が必要になった
デジタル化による情報の過多で人々の消費活動は変化しています。情報が溢れかえっている状況で、自分に本当に合った美容室を探すのは一苦労です。
そのようなときに助けになるのが「ブランド」です。
情報が完全に過多になり、人々が日々受け取る情報に圧倒されている世界では、ブランドがさらに重要になる。
人々には、日常生活のすべての事柄について選別している時間はない。ブランドはその選別を助けてくれる
『スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉』青春出版社より
アップルを世界一のブランドにしたスティーブ・ジョブズの言葉です。
例えば日本でスマートフォンといえばiPhoneをイメージする人が多いと思います。カフェならスターバックスなど。
情報化社会において、ブランドが確立されている安心感が選択の助けになります。
なにも世界の大企業のようなブランドを作らなければいけないわけではなく、特定の地域の人たちにイメージしてもらえればいいと思います。
「〇〇市でショートスタイルといえば〇〇美容室」のように自店がある地域でイメージしてもらえれば、他の美容室に比べて有利になるのではないでしょうか。
④少子化により、新卒採用が困難になっている
少子化による人材不足は美容業界に限っての課題ではありません。少子化の中で、いかに優れた人材を確保していくことは多くの企業の避けられない問題になっています。
この問題を解決するうえでも、ブランディングは必要不可欠です。
美容室のブランド力が採用力に大きな影響を及ぼしていることは間違いなさそうです。採用については後述します。
ブランドとは何か?
ブランドに関するよくある誤解
- 単なるイメージのことと捉えている
- ロゴやデザインのことだと思っている
- 高級品のことだと思っている
- 大企業だけのものだと思っている
これらの要素を含んでいることは確かなのですが、「ブランド」という言葉の正体はもう少し探ることができます。
そこで「ブランドとは何か?」を解釈するための5つのポイントを紹介します。
①元々独自性を出すために生まれた
ブランドは、「焼印を押す(Burned)」という言葉が語源になっています。焼印とは自分の家畜と他の家畜を区別するために押すものです。なのでブランドは独自性があり、他に真似されにくいものである必要があります。
②お客様の頭の中にあるイメージ
ブラディングを考えるうえで気をつけなければならないことは、ブランドイメージは「お客様の頭の中にある」ということです。なので徹底的にお客様の立場、視点に立って考えることが必須になります。
③ブランドの価値はお客様が決める
ブランドの価値はお客様が評価します。自店のブランドイメージをただ発信しているだけでは、ブランドとして存在しているとは言えません。
ブランディングの成功は、お客様からブランドイメージを言ってもらえる状態になることです。
「マーケティング」が自分たちの価値を伝えるものであるのに対して、「ブランディング」はお客様に自店の価値を見出してもらう努力をすることです。
④すべての美容室が持つ形のない資産
ブランドは自店にとって形のない資産となります。「小さい美容室だし、そんなものうちにはないよ」と捉える人もいるかもしれません。
しかしすでに数年以上続いている美容室なら、なんらかのブランド要素を持っているはずだと思います。何かあるからお客様が来店しているのです。
その何かをスタッフと共に明確にし、それが資産になるように育てていくことが「ブランディング」です。
⑤お客様に対する未来への約束である
自店の存在意義がお客様にどれだけ響いているかが、自店の価値を決めます。
美容を通して、
・「どんなことをしてお客様に喜んでもらいたいのか」
・「どんな人を救いたいと思っているのか」
・「どんなことで社会を良くしたいのか」
といった未来への強い志がブランドの価値を高めるには重要なことになります。
ブランディング3つのメリット
ブランディングをすることによって得られるメリットは大きく分けて3つあります。
①集客
集客サイトの割引クーポンなどに頼らずに、「この美容室だからこそまた来たい」と思ってもらえることは大きなメリットになります。それは価格競争からも脱しやすくなります。
割引クーポンに頼った集客では、お客様の長期のリピートにつながりませんし、近くに安いお店があればすぐに流れてしまいます。今でもホットペッパービューティーなどではお客様の奪い合いが起こっている状況です。
ブランディングにより価値が明確になれば、その価値を求めているお客様が来店してくれます。手当たり次第にチラシを配る必要がなくなります。
新規オープンで「お店を知ってもらいたい」といった理由なら効果があるかもしれませんが、平常時の新規集客にチラシ配りをするのは、コストも労力もかかり非効率です。
自店のコンセプトに合ったお客様に来ていただくためにも、ブランディングは効果的だと思います。
②客単価アップ
先述したように今は「安ければ買う」という時代ではなくなりました。お客様が「価値がある」と判断すればその価値に見合ったお金を払っていただけます。
価格設定も近隣のお店と比較して決めるのではなく、自店のブランディングに沿った価格設定をするのが望ましいです。
日本を代表する経営者の一人稲盛和夫氏はこのように言っています。
営業の使命とは、「この値段なら結構です」とお客様が喜んで買ってくれる最高の値段を見抜くことである。
この「最高の値段」を見抜ける美容室オーナーは少なく、売上が上がらないと安易に価格を下げ、他店との価格競争に巻き込まれてしまいます。
ブランディングによってお客様の来店目的が明確になっていれば、客単価を上げることも可能になります。
③人材採用
ブランディングはお客様だけではなく、人材採用にも効果的です。美容師業界の課題の一つとして、なかなかスタッフが定着しないということが挙げられます。
「長時間労働のわりに給料が安い」
「一般企業に比べ休みも少ない」
このような理由から辞めてしまったり、福利厚生がしっかりした美容室に移ってしまったりします。スタッフが定着していれば採用活動に時間や経費をかけなくて済みます。
ブランディングができている美容室には、給料体系や福利厚生などの条件がいいからという理由ではなく、「この美容室でこんな美容師になりたい」と高い意識を持った美容師が集まってきます。
人材確保が難しい美容業界でも、毎年多くの新卒応募者が集まる美容室はあります。そういった美容室はやはりブランディングが確立しています。
まとめ
というわけで、ブランディングに取り組む前に知っておきたいことを紹介させていただきました。
今は小規模サロンも増えています。大型サロンと同じ土俵で競うのではなく、ブランディングを確立させ自店にしかない価値を提供していくことが、集客や人材採用といった面でも重要になるのだと思います。
この機会にぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
ブランディングに関する本の紹介もしていますので、よければ合わせて読んでみてください!
この記事がブランディングに取り組むきっかけになれば幸いです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
GOOD LUCK!
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