「なんだかやる気がみられない」
「現状に満足しそれ以上を求めない」
そういったスタッフに対し、どう指導をすればいいのか悩んだりしませんか?
何を考えているのかわからないから指導に悩む。ジェネレーション・ギャップがあれば、なおさらわからないかもしれません。
そんなとき、1on1ミーティングは最適の方法だと思います。
今回は、「1on1って何?」「初めて聞いた言葉だけど」というかたのために、その方法を私なりに簡潔に紹介したいと思います。
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、オーナーや店長、またはマネージャークラス(この後は上司とさせていただきます)の人とスタッフが1体1で定期的に行う対話のことです。その対話の中にコーチング・ティーチング・フィードバックを効果的に組み合わせます。
1on1ミーティングの目的は、自分で考え行動できるような自律型人材になるための成長を支援することです。
一般的に行われるミーティングの目的は、サロンの戦術、戦略、問題解決が課題であり目的であるため、1on1ミーティングとは課題が異なります。1on1ミーティングの課題は、スタッフ自身が自律型人材になるための手段や材料になります。
一般的なミーティングは、オーナーや店長が解決策をスタッフに指示したり、提示したりします。それに対して1on1ミーティングは、スタッフ自身が感じたことや考えたことを話しながら「気づき」を促し、自ら行動できるようにします。詳しい方法は後述します。
1on1ミーティングで必要なのは、問題を解決することではなく、スタッフ自身が「本当にやりたい!」という気持ちが湧いてくることです。上司の関わり方は、そのための勇気づけや応援をしていくことです。あくまでも主役はスタッフなので、上司は喋りすぎないように注意しないといけません。評価やアドバイスをすることではないんですね。
そしてサロンで行われてる一般的なミーティングと1on1ミーティングの違いを明確にしないと、スタッフは「ミーティングが増えて嫌だ」などの不満が出てしまいます。また単なる世間話や愚痴を言う場になってしまうことにも注意が必要です。
しかしながら、1on1ミーティングの目的や価値をしっかりと理解していれば大きな効果があると思います。
次からは1on1ミーティングを行ううえで、大事なことを3つ紹介したいと思います。
信頼関係の構築
1on1ミーティングの目的は、スタッフに本心や本音を話してもらうことです。あなたはどんな上司にだったら本心や本音を話しますか?やはり信頼のおける上司に話すと思います。なのでスタッフが安心して本音を話せる関係を構築していきましょう。
信用できない上司と信用できる上司の違いはなんでしょうか?私が出会った上司を例に挙げたいと思います。
信用できない上司
- 口だけで技術・接客が伴わない
- 口が軽い
- 売上のことしか考えてない
- 頑固で話を聞いてくれない
- 自分に甘く、他人に厳しい
- すぐ否定する
信用できる上司
- 一人の人間として大切にしてくれる
- 結果だけでなく、プロセスも見てくれる
- チャレンジをさせてくれる
- 手が空いていればアシスタント業務もやる
- 決して人格否定をしたり、バカにしたりしない
上司の立場の人間は、スタッフにとって心を許せる存在であるために努力することが大事です。その姿勢をスタッフは見ています。そうして段々と信頼関係が構築されていくのではないでしょうか。
信頼関係を構築するうえで活用できるキーワードをここでも3つ紹介します。
3つのキーワード
- ソーシャルスタイル
- 「結果承認」と「存在承認」
- 傾聴
ソーシャルスタイル
ソーシャルスタイルとは、アメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論です。血液型と一緒で、人の行動の傾向やコミュニケーションの取り方にも4つのスタイルがあります。もちろん様々な人がいるのでハッキリと4つに分けることはできませんが、大まかなスタイルの傾向を知っておくと1on1において役に立つと思います。
スタッフの行動傾向を知ることで、コミュニケーションが円滑になり、信頼関係が構築しやすくなります。
ソーシャルスタイル
4つのスタイルには、大まかにこの表のような特徴があります。自身やスタッフに当てはめてその特徴を把握することができます。そして4つのスタイルには共通点もあります。例えば右の2つは自己主張が強く、上の2つは感情をあまり表に出さないといったところです。
このスタイルは良い悪いではなく、相手のスタイルや特徴を知っておかないと、良かれと思ってやったことが逆効果になってしまうこともあるということです。
自分自身がどのスタイルか知り、スタッフのスタイルを知ることができれば、相手の好むコミュニケーションの取り方を考えることができます。そうすることによって心地よい関係を築くことができるのではないかと思います。
「結果承認」と「存在承認」
「機能価値」と「存在価値」という考え方があります。
「機能価値」とは、結果が出ることに価値があるという意味で、「存在価値」とは、存在しているだけで価値があるという意味です。簡単にいうと、個人売上を上げてサロン全体の売上に貢献すれば、上司に褒められ存在価値が上がる。逆に結果を出せない人間は、ミーティングなどで意見を求められなかったりひどい場合は挨拶もまともに返されない、といったことになります。
結果が出たら褒める、出なければ人格否定をする、このようなことを「結果承認」といいます。
結果が出る出ないに関わらず相手の存在を認めることを「存在承認」といいます。
結果承認のみでスタッフとの関係性を構築していくのは、とても怖いことです。そうやって育てられたスタッフは、売上が下がったりすると「自分は価値のない人間だ」と思い詰めてしまうことがあります。最悪辞めてしまいます。
美容師とは関係ないですが、こんなエピソードがあります。
私の小学校の同級生で、地元では有名なサッカーの上手な子がいました。横浜マリノスのJr.ユースに所属していて、それはそれは親御さんも熱心に時間とお金をかけていたと思います。ところが高校になるときに、彼はマリノスのユースに入ることができませんでした。それでもサッカー推薦で強豪校に進学しました。月日は経ち、高校2年のとき彼に会ってみると、サッカーは辞めたと、、、。茶髪にピアス、中学のときとは容姿もだいぶ変わっていました。どうやら進学した強豪校ではまったくレギュラーになれなかったらしいです。
あなたはこのエピソードをどのように感じましたか?
私はまさに結果承認のみの教育の怖さを感じました。もちろん彼がサッカーを辞めた理由は他にもあるかもしれませんが、、、。
大事なのは存在承認をした上で、結果承認もするということです。存在承認をされていると安心して仕事ができます。しかしながら「結果を出さなくても、サロンにいてくれればいいよ」と上司は言えないですよね。存在承認とは何か難しいことをするわけではないです。
「名前で呼ぶ」「きちんと挨拶をする」「ミーティングで意見を求める」普段からこのような関わり方をしていれば、スタッフは「自分はこのサロンにいていいんだ!」という安心感を覚え、心を開いてくれるのではないでしょうか。
傾聴
「傾聴」と「聞く」の違いを説明できますか?
何が違うかというと、主体が違います。「聞く」は情報収集が目的で、主体は自分です。「傾聴」は相手が話したいことを話させてあげることで、主体は相手です。自分の話を聞いてくれる人って、案外少ないものです。人は基本的には自分がしゃべりたい生き物ですからね。だからこそ、傾聴できる人が重宝され信頼関係が生まれます。
相手が話したくなる聴き方
①90度で座る
人間の心理において、話すときに真正面に向き合って話すのは緊張します。逆にリラックスできるのは真横に座るです。(バーカウンターや『笑っていいとも!』のタモリさんとゲストの位置関係)『笑っていいとも!』は若い子は分からないかな、、、(⌒-⌒; )。
真正面と真横の間、90度で座って話を聴くのがいいです(『徹子の部屋』の黒柳徹子さんとゲストの位置関係)。『徹子の部屋』は現在も放送中ですので、時間があれば見てみてください。
②相手のペースに合わせる
話しているスピード、声の大きさ、言葉遣いなどのペースが合っていると相手は話しやすくなります。美容師は普段お客様と話すので、これは感覚的にわかるかもしれません。
③相槌やオウム返しをうまく入れる
無反応で聞かれることは、ものすごく話しずらいですよね。なので会話の節々に相槌やオウム返しを入れて、相手が話しやすい空気を作ってあげましょう!
④相手が話し終わるまで待つ
これはできない人が本当に多いと思います。私も意識して気をつけるようにしてます。
それでもつい自分の意見を言ってしまうことがあり、反省することもあります。逆に話を遮られることも多々あります。
これは1on1ミーティングにおいて注意しておくべきことです。
話途中で相手か考えているようであれば、ちゃんと待ってあげましょう!
この4つの聴き方を意識しながら聴くのは難しいことです。なのでプライベートでもなるべく意識しておくと、自然にできるようになってくると思います。
この3つのキーワードを普段から意識してスタッフとコミュニケーションを取り、信頼関係を構築してください。
内発的動機づけ
動機付けには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つがあります。
外発的動機づけとは、報酬や昇給、罰則などの外からの働きかけで人を動かす方法です。この方法は即効性はあるかもしれませんが、持続しにくいです。
内発的動機づけとは、楽しさや好奇心など人の内側から湧き上がる要因によって生まれる動機づけです。即効性はないかもしれませんが、自分が理想としている「ありたい姿」に近づくために、モチベーションが持続しやすいです。
1on1ミーティングの目的は、「自分で考え行動できるような自律型人材になるための成長を支援することです。」なので、内発的動機づけを行うことが大事です。
そして、1on1ミーティングで上司が行うことは、スタッフの「本当にやりたいこと」などの個人的目標や目的とサロンのビジョンや理念との共有部分を見つけ出すことです。とはいっても難しいことですよね、、、。私もそう思います。参考までに内発的動機付けの方法を紹介します。
①まず、対象のスタッフの本当にやりたいこと、理想の人生や、ありたい姿、どんなことにやりがいを感じるかなどを深く聞き出す。
②サロンのビジョンや目標を伝える
③そして紙に書き出すなどして、サロンとスタッフの共有部分を見つけ出す。
やはりビジネスであるいじょう、サロンもスタッフも満足のいく状態が望ましいのではないでしょうか。
内発的動機付けを行なううえでも、信頼関係は非常に大事なことだと思います。信頼してない上司に「将来自分がどうなりたいか?」などと聞かれても答えたくはないですよね、、、(^_^;)
気づきを促すコーチング
コーチングとは、「人の目標達成を支援すること」です。基本的にはアドバイスのようなことは行わず、問いかけながら相手が「本当に望むこと」を聞き出したり、新しい気づきを促したりします。
なぜアドバイスをしないのか?それは、自分で考えようとしなくなるからです。問いかけが機能するのは、質問をされることによって何かを感じ、考えて答えようとするからです。そして、その答えを本人も耳でインプットしています。
誰かと話していてこんな経験はありませんか?一人で悩んでいるときはモヤモヤとしてたことが、誰かに話し聴いてもらうちに頭の中が整理されモヤモヤが消える。このように、自分でアウトプットしたものを、自分にインプットし、頭を整理していくことを「オートクライン」というそうです。
上司が話を聴きながら効果的な質問をすることによって、相手は自問自答を繰り返すことになり、あるとき自分の「本当の想い」に気がつきます。これが「気づき」です。
自分で気づいたことは、自発的な行動につながります。そして結果が良くても悪くても、自分で気づいて行動したのであれば納得がいくのではないでしょうか。結果を分析して次の行動につながるかもしれません。このような経験を起こしていくのがコーチングの目的です。それを1on1ミーティングで行っていきましょう!
しつこいようですが、信頼関係なくしてコーチングは機能しません!信頼関係は大事ですね!
まとめ
どうでしたでしょうか?すでにこういったミーティングを行なっているサロンもあると思います。大事なのは定期的に行なうことですね。人の気持ちは状況によって変わったりします。
15分でも30分でも、サロンでできる範囲でいいので定期的に行なってみてください。
1on1ミーティング、以前のサロンでも取り入れていればなぁと思いました。
私なりにまとめてはみたのですが、もしわかりにくいところがあれば、ぜひコメントをいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
GOOD LUCK!
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